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  • 2017.04.28 その他

    【特別編】ポケモンコマスター1周年記念 特別コラム ≪大山コマスター研究所≫

どうも、大山です。

「ポケモンコマスター」がリリースされてから、4月12日で1年になりました。 そんなわけで、今回はポケモンコマスターの元になったゲーム、「ポケモントレーディングフィギュアゲーム」(ポケモンTFG) を作った時の考えや想いとかをコラムにしたいと思います。 ポケモンTFGの第1弾が欧州、北米で発売されたのが2007年頃なので、今年でちょうど10年です。
では、色々紹介していきましょう。



親子で遊ぶ想定

ポケモンTFGはアナログのボードゲームだったので、子供同士もありますが、親子で遊んでもらいたいと考えていました。 なので、親御さんにもわかりやすいように「ポケモン同士の相性」を無しにしたんです。
ボードゲームとしては相性を覚えていないとゲームがやりにくいし、相性が入ると考える事も多くなり難しいものになってしまうからです。 まあ、相性をフィギュアに記述するスペースも無いとか、複雑なゲームにならないようにしたいと言う事もあり、総合的に判断しました。


プレイマットについて

フィールドマップは、わりと早くからあの型に決まりました。 ポケモンの移動力(1〜3歩)を基準にして設計しています。 他にも、別案を出してはいましたが、やはりあれがベストと言う事で採用になりました。 フィールドを変えたいと思う人もいるとは思いますが、将棋やチェスと同じで、盤が変わらない事は重要だと考えています。 何か1つのものを基準にした方が、ゲームが破綻しないので。 ポケモンTFGでは、初心者やフィギュアの少ない人用に「3対3マップ」と言うものがありました。 ただ、3対3はちょっとした間違えが命取りになるので、上級者がやると6対6よりもシビアなゲームになってしまったんですけどね(笑)。 でも初心者には良いところもあります。駒の数が3個と少ない分、動かし方や、相手の駒のデータが覚えやすいと言う点です。


↑ポケモンTFGの6体戦用プレイマットです。



データディスク

フィギュアのデータディスクは、ちょっと凝っています。
ポケモンのすがた、ワザの出る方向などを元に配置したディスクがあったり、頭が良さそうなポケモンは「こんらん」した時に弱くならない配置やワザ数が多いとか、大きいポケモンは脇があまい(斜め後ろに「ミス」があったり)とか、強力なワザの左右にミスがあるポケモンは一か八かの性格だとか、ミスが無いポケモンは堅いとか隙が無い感じとか、ちょっと作り手しかわからないこだわりがありました。気付かなくても、何となく感じてもらえたら嬉しいんですけどね(笑)。

ワザはスピードを表したりしています。
「白ワザ」は打撃などの接近ワザで、「紫ワザ」は遠距離から効果が出るワザを表しています。 なので、遠距離から出せる「紫ワザ」が「白ワザ」より先に決まると言うわけです。 「紫ワザ」の★印の数は、ワザ効果のスピードの速さを表しています。 「金ワザ」は「でんこうせっか」などのスピードが速いワザなので「紫ワザ」より先に決まると言う考え方です。


トレーナーフィギュア

ポケモンTFGには、ポケモンコマスターには無い「トレーナーフィギュア」と言うのがありました。 カスミやタケシなどお馴染みのジムリーダーやトレーナーです。 トレーナーが「トレーナーカード」(ポケモンコマスターではプレートの事)を使うと言う設定で、「トレーナーカード」を使う時には「トレーナーフィギュア」をスピンさせ、8%ぐらいのミスがあって、ミスするとその回はカードが使えないと言うものでした。 ここにも運命の要素があったのです。 ミスすると「なるほど、ここでそのカードを使う気だったのね」と相手の戦略が見えたりして面白いと言うこともありました。 また、「トレーナーフィギュア」専用の「トレーナーカード」と言うものもあって、カードを集める楽しみと強い効果が望めると言うアイデアもありました。





↑フィギュアは3つのパーツから出来ています。ベース(透明)の軸にフィギュアパーツを重ね、回転させる仕組みです。上からリングをはめて固定します。リングは白チームと黒チームを分けるために差し替えられるようになっていました。


ミスについて

ポケモンの「ミス」の考え方は、赤色の表示で駒の性能が一目で分かりやすくしたかったことと、「ミス」によって攻撃の絶対性を無くして、パワーの低いポケモンでも勝てる可能性を残すためでもありました。 「レア」でパワーのあるフィギュアだけが脚光をあびるのではなく全ポケモンに活躍の場を与える為です。アナログゲームなので、使えないフィギュアを作らないと言う目的もありました。 「ミス」は、まあ、どんな大物でもあると言う考えです。

例えば、野球でもホームラン王が三振とかするじゃないですか、そんな番狂わせや打率みたいな感じにルーレットと言うものを考えていました。 打って欲しい時に空振りとかがあるように、ポケモンを野球選手みたいに考えると、ミスや期待外れのワザが出ても少しは頭にこないかもしれませんね(笑)。

ポケモンTFGだとアナログなのでプレイヤー自身が直接ルーレットに触って回すので結果に文句は出ませんが、ポケモンコマスターだと何かコンピュータにズルされているのではと思ってしまう人もいるかもしれませんね。でも、そんなことはありませんよ、ランダムとは時に偏ったりもするんです。


ポケモンセンターの役割は

ポケモンセンターに入ってしばらく使えなくなった駒は、野球で言えば打順を待つ選手みたいなもので、強打者がアウトになり次の打順まで待たないと使えないみたいな感じで考えていました。 サッカーで言えば、レッドカードで退場して人数が減るみたいな感じでもあります。 だから、あまり完全ゲームの将棋などの様に捉えず、状況がどんどん変わるスポーツゲームみたいに捉えてもらえれば、もっとドキドキハラハラのゲーム感を楽しんでもらえるかもしれませんね。


厄介なポケモンたち

ポケモンTFGでも、ニャースのねこだましでゴールや、ミュウツー速攻、ヤミカラス、カゲボウズ、などは開発チームで流行っていましたね。 もっと厄介なポケモンもいたんですけど、ポケモンコマスターに採用されるかもしれませんので伏せておきます(笑)。 コマスターでは、デジタルならではの能力のポケモン達も増えて、戦いはさらに難しく面白くなっていくと思いますよ。




考える面白さ

ポケモンTFGは局面、局面で考えるのがゲームの面白さだと思っています。(ポケモンコマスターでもそうですが)

状況に合わせて、最善策を考える楽しみ。
自分の作戦が失敗しても、その作戦が相手に伝われば会話をしなくても対話になりますし。「なるほど、その手ね。わかるわかる。」みたいに。 ですから、相手とのやり取りを楽しんだり、考える楽しさを味わってもらいたいですね。

まあ、確かにこのゲームは運が絡むゲームではあるので、深く考えてもその作戦が絶対に成功するわけではありませんが、自分がどういう手を打ったか、最善の手が打てたか、指し回しにミスは無かったか、あの手を指していれば勝っていたのに見落としていた、などの反省も含めてこのゲームの面白みではあると思うんです。考える楽しみですね。

さて、ではデュエルをしますか!


「ポケモンTFG」が「ポケモンコマスター」そして「Pokémon Duel」になって、世界中の多くのユーザーに遊ばれているのはやっぱり嬉しいですね。

ポケモンTFGで当時開発していたけれど発表できなかったデータやいろいろなアイデアは、いま、ポケモンコマスターに活かされています。 ポケモンTFGのゲームデザインや駒データ等を一緒に作っていたポケモン社の三浦さんが、ポケモンコマスターでも駒データなどを担当してがんばっていますので、期待してくださいね。

僕も、今後もポケモンコマスターに関わりながら、1プレイヤーとしても楽しんでいきたいです。

それでは、また。

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